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毎日映画コンクール2016 の授賞式がミューザ川崎シンフォニーホールで開催されました!

映画祭

 

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    第70回毎日映画 コンクール表彰式

      2月16日、川崎市ミューザ川崎シンフォニーホール
      で表彰式が開催されました。

 

 

 

第70回毎日映画 コンクールの受賞作


第70回毎日映画コンクールは、日本映画大賞に橋口亮輔監督
の「恋人たち」を、日本映画優秀賞に黒沢清監督の「岸辺の旅」を
それぞれ選出しました。

受賞者・作には、2015年の日本と日本映画界を代表する顔ぶれ
が並びました。

 

 

第70回 日本映画大賞

「恋人たち」 監督橋口亮輔

橋口亮輔監督の「恋人たち」は、作者と出演者たちの、観客に訴える熱意の
圧倒的なまでの強さ、激しさに打たれる作品である。

世の中、おかしいのではないか。

もっとみんな本気で考えよう!という思いがスクリーンからナマのまま伝わってくるような気がする。他方、それはそうだが、この表現はナマのままでありすぎるのではないかという疑問も出され、合意に達するまでに相当に議論した。確かにそうだが、これだけ訴える力のこもった作品はめったにない、ということで意見は一致した。

 

作品部門

日本映画優秀賞 「岸辺の旅」黒沢 清

黒沢清監督の「岸辺の旅」は、まことに洗練された映画である。あり得ない話を、意表を突く巧みな語り口の上手(うま)さによって、なんとなく、あり得ることのような気分に導いてしまうのである。これもまた、映画ならではの特別な機能を存分に発揮した、傑出した作品だと言わないわけにはゆかない。

 

外国映画ベストワン賞

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
アレハンドロ・G・イニャリトゥ

アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の真骨頂とも言うべき作品。アカデミー賞では作品、監督、脚本、撮影の主要4部門を制覇した。かつて映画「バードマン」でスターになった俳優のリーガン(マイケル・キートン)はその後落ち目になり、ブロードウェーの舞台劇で一発逆転を夢見る。だが情勢混沌(こんとん)として……。手持ちカメラの長回し画面、そうかと思うと突然怪獣が出たり空を飛んだりのファンタジー。変幻自在に振り回されながら満腹した。

 

監督賞   塚本晋也「野火」 

「野火」は塚本晋也監督の自作自演。1959年、市川崑監督が大岡昇平原作を映画化し、名作の誉れ高かった。塚本監督は「リメークではなく、原作から感じたものを描きたかった」という。

太平洋戦争末期のフィリピン・レイテ島。

日本軍は圧倒的な米軍の前にジャングルを逃げ惑うだけ。カラーで描かれる戦場は
日本兵の手足が吹っ飛び、死体が延々と横たわる凄惨(せいさん)な有り様。
サルの肉と称して死体の肉を食らう生き地獄が展開される。

戦後70年。元兵士は老い、証言を聞けなくなってきた今こそ、という塚本監督の
執念が作らせた壮絶な作品だ。

 

脚本賞    原田眞人 「駆込み女と駆出し男」

この作品は井上ひさし東慶寺花だより」を原案としている。一般に、脚本はオリジナル作品が高く評価されるが、本作は、1話完結の15話からなるエピソードを、同時進行で立体的に再構築したもので、小器用な原作のコラージュではない。

男尊女卑の江戸時代にあって、虐げられた女性が離婚の権利を獲得する知恵は、母子家庭が困窮する現代に通じるテーマであり、原田眞人はさまざまな境遇の女性たちの姿を、生き生きとした人物として鮮やかによみがえらせ、高水準の娯楽映画として仕立て上げた。

 

 

俳優部門

 

男優主演賞  塚本晋也 「野火」

「自作自演」--映画作家の頭の中のイメージに形を与えるのに、これは一つの理想なのではないかと、ビートたけしでもクリント・イーストウッドでもなく、塚本晋也に改めて考えさせられた「野火」。

スキルとか、バランスとか、完成度とか、そういう役者の“熟達”を表す言葉とはある意味、本作の中で最も遠いところに存在しているように見える塚本の顔や動き、声や震えを、視覚と聴覚で受け止めるうちに、いつの間にか嗅覚や触覚も呼びさまされ、さらには味覚までもが画面をまさぐり始めるような錯覚も。うそから出たまこと。フレームの外と内を往還する監督/俳優だからこそあり得たであろう忘れられない体験となって、この塚本晋也は我々の記憶に刻まれた。

 
女優主演賞  綾瀬はるか 「海街diary

テレビドラマのヒロイン役や紅白歌合戦の司会ほか、綾瀬はるかは今最も茶の間で親しまれている女優だが、映画では軽いコメディーを演じることが多かった。が、異母妹を含めた4人姉妹の長女を演じた「海街diary」では、自分たちを置き去りにした両親に代わって年ごろの妹たちと家をしっかり守り、時にはきつい言葉も口にする。持ち味の柔らかさに母鳥のような強さをにじませたその演技は、妹役の女優たちも輝かせて見事。

 

男優助演賞  加藤健一 「母と暮せば」

巨匠、国民的俳優、演劇の偉人、そしてNAGASAKI……。「母と暮せば」は襟を正して鑑賞したくなる作品です。

戦中も戦後も厳かで穏やかに過ぎてく時間に、愛嬌っぷりねっとり忍び込み、大陸で悪さした愚かさを臭わせ、それに恥じ入りながらも日本の美しさを守りたい男=蓮池のどろを思わす加藤健一の有り様に「昔、こんな人いたなあ。俺の親父もこうだったかな」と思い出した。静謐な世界で奮闘する「寅さん的人物」は愛しかった。

 
女優助演賞  長澤まさみ 「海街diary

「次女って、さもありなん」と妙に納得させられた。長女との、そして三女との微妙な距離感もごくごく自然に表現し、思わず脱帽だ。是枝裕和監督の「海街diary」の演技で長澤まさみが初の女優助演賞に輝いた。

2011年公開の「モテキ」あたりから幅が大きく広がった感がある。本作の冒頭の悩ましい寝姿のように色気もぷんぷん漂わせれば、コメディエンヌとしても力量を発揮する。これからますます目が離せない女優さんだ。

 


スポニチグランプリ新人賞


野田洋次郎  「トイレのピエタ

天が二物を与えた2人が存在感で圧倒した。過去をなくした男が歌への夢を奪還する様を、迷子の野良犬然と快演した「味園ユニバース」の渋谷すばる。病に未来を奪われた青年が、不屈の闘志をにじませる女子高生と出会って再び描こうと最後の命を燃やすまでを、寡黙の雄弁で体現する「トイレのピエタ」の野田洋次郎。ともに音楽界のスター。いずれも演技の身体性で輝いたが、初出演の野田に“新人”の冠を。新星を輝かせた監督の力も無論、忘れ難い。

 
藤野涼子  「ソロモンの偽証 前篇・事件/後編・裁判」

「ソロモンの偽証」は思春期を迎えた少年少女の心の闇を描いた世界。

登場人物の多くは中学生であり、なかでも宮部みゆきの原作を脚色して映画の要となったのが藤野涼子という女子生徒役。その難しい役柄を、1万人オーディションで選ばれ、地の部分に素直な演技を交えて巧みに応えつつ、ベテラン俳優に交じっても少しも遜色がない存在感で魅せている。今後は役名を芸名として俳優活動を続けるということで楽しみである。

 

 田中絹代賞     桃井かおり

世界中で若い世代の反乱が吹き荒れた1970年代、桃井かおりはその時代のうねりの中を軽やかに飛翔した。71年の「あらかじめ失われた恋人たちよ」、続く「赤い鳥逃げた?」「竜馬暗殺」「青春の殺人者」「幸福の黄色いハンカチ」「夜が崩れた」などから、79年の「もう頬づえはつかない」「神様のくれた赤ん坊」へ、日本映画の大きな変貌とともにATG、日活、東宝、松竹を横断し、それまでのスター像を覆した。

彼女の独特のけだるい言葉遣いやその姿は気まぐれな風俗ともなった。映画女優としての大胆な模索をつねに感じさせ、この賞にふさわしい。米西海岸に生活の拠点を移したようだが、監督としての本格デビューも近い。

 

TSUTAYA映画ファン賞」

 日本映画部門  「幕が上がる」本広 克行


外国映画部門  「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」
        クリストファー・マッカリー

 

特 別 賞

櫛桁一則(「シネマリーン」支配人)

橋本 忍(脚本家)

 
かわさきシネマアワード  「小川町セレナーデ」原 桂之介

 

 

 

 俳優部門 受賞者の受賞コメントです!

 

 

女優主演賞の綾瀬はるかさん

 

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綾瀬はるかさん「海街diary

「私が演じた幸姉は、4姉妹の長女ですごくちゃきちゃき
しているんです。普段の優柔不断な私とは真逆で難しいなと
思っていましたが、幸を演じたことで今まで知らなかった自分を
知ることができました」

「長澤さんは現場でみんなをまとめてくれましたね。
妹たちはみんなかわいくて、3人と一緒だとすごく演じやすかったです」

 

 

男優主演賞  塚本晋也さん 

 

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塚本晋也さん「野火」

自身の監督作「野火」で男優主演賞に輝いた塚本さんは

「ごめんなさい……僕ですみません。
本当に申しわけないなあって思います……。
すみませんでした!」と恐縮しきりです。

そして受賞の知らせを受けたときの気持ちを
「絶句しました。その夜に歴代の受賞者一覧を見て佐分利信
三國連太郎緒形拳と順番に読み上げていったらますます実感
がなくなっていって……」と明かし、
資金はありませんでしたが、自分がカメラを持って演じれば
1人でできるかなと思って作り始めました」と製作を振り返りました。

 

 

 

女優助演賞  長澤まさみさん

 

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長澤まさみさん 「海街diary

長澤さんは「(受賞は)一緒にがんばってきた皆さんのおかげだと

思っています。これからも精進して前に進んでいけたら」と抱負を

述べ、「長女と次女は映画の中でぶつかることが多いんですけど、

長女役の綾瀬はるかさんが柔らかく受け止めてくれていました」と

回想しています。

 

 

男優助演賞 加藤健一さん

 

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加藤健一さん 「母と暮せば」

山田洋次監督の「母と暮せば」で男優助演賞に選出された加藤さんは
「27年間演劇の舞台にしか立っていなかった私が、この舞台にいる
のが不思議」と述懐し、共演者である嵐の二宮和也さんについて
「好青年でびっくりしました。(ジャニーズ事務所の)教育はすごい
ですね!」と語りました。

 


スポニチグランプリ新人賞 藤野涼子さん 

 

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藤野涼子さん「ソロモンの偽証 前篇・事件/後編・裁判」

藤野さんは「歴史ある賞の新人賞に私が選ばれて、名前が刻まれて
いくことをうれしく感じています。
女優助演賞、女優主演賞を新たに受賞できるような女優になれれ
ばいいなと思います」

 

 

スポニチグランプリ新人賞 野田洋次郎さん 

 

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野田洋次郎さん  「トイレのピエタ

野田さんは「2年前に当時は見ず知らずの人だった松永大司監督に
『出てほしい』と言われて、そこから監督と喧嘩したり仲直りしたり、
言葉を交わして気持ちを重ねて撮影に臨みました。

しびれる現場に立ち会えるなら、(映画の世界に)またぜひ戻って
きたいです」

 

 

田中絹代賞 桃井かおりさん

 

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桃井かおりさん 「田中絹代賞」 

女優・田中絹代さんにちなんだ「田中絹代賞」を贈られた桃井さんは
ベルリン国際映画祭に行っていて、今朝帰ってきました。
監督作のスクリーニングがまだ残っているけど、監督よりも女優賞を
選んでしまったんです(笑)。

田中絹代さんとは、倉本聰さんの作品などいろんな現場でご一緒させて
いただきました。絹代さんは謙虚な方なので、テレビの世界に入ってきた
ときに『田中は新人でございますのでよろしくお願いしますわね』と
言われたのを覚えています。

ずいぶんかわいがっていただきましたね」とトロフィーをしっかりと握り締め、しみじみとした面持ちで話しました。



TSUTAYA映画ファン賞 日本映画部門「幕が上がる」

 

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ももいろクローバーZ 百田夏菜子さん

主演作「幕が上がる」でTSUTAYA映画ファン賞日本映画部門を受賞
したももいろクローバーZのメンバーたちは、トロフィーを手にして
大喜び。

そして百田夏菜子が挨拶をしようとするもマイクの位置が高すぎる
というハプニングが起こり、会場が笑いに包まれました。

百田さんは「こんなに素敵な賞をいただけると知ったときはみんなで
びっくりしました! こういう場にお呼ばれするのは不思議な感じがします」

玉井詩織さんは「初めての映画主演。一から指導してくださった本広克行監督や平田オリザさんには感謝しています。お芝居で得た力を今の私たちの活動に生かすことができているので、お芝居と歌や踊りは違うようでつながっているんだなと思います」と弾けんばかりの笑顔を見せていました。

 

 

 

毎日映画コンクール 「監督賞」「男優主演賞」受賞の塚本晋也さん 

 

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 映画「野火」 オフィシャル・サイト

 

大岡昇平の同名戦争文学を「六月の蛇」の塚本晋也が監督兼主演で映画化。
第二次世界大戦末期のフィリピンを舞台に、肺病を病んで部隊を追い出され
一人彷徨う兵士の姿を描く。

共演は「そして父になる」のリリー・フランキー、「蘇りの血」の中村達也
オーディションで選ばれた新人・森優作、「ギリギリの女たち」の中村優子
「童貞放浪記」の山本浩司

 

 キャスト
田村一等兵 - 塚本晋也
安田    - リリー・フランキー
伍長    - 中村達也
永松    - 森優作
田村の妻  - 中村優子
分隊長   - 山本浩司
軍医    - 山内まも留

 

2015年7月25日に公開された日本映画。監督・脚本・製作などに加え主演する
塚本晋也さんは、構想に20年を費やしました。

製作には出資者が集まらず、自主製作映画としての公開ながら、2014年7月開催の
第71回ヴェネツィア国際映画祭メインコンペティション部門に正式出品。

第15回東京フィルメックスのオープニング作品として上演。第23回レインダンス
映画祭に出品しました。

 

若者がこの映画を見たとき、戦場の極限状態に衝撃を受けたとしても
「戦争の怖さ」を伝えたいという監督の思いが強く心に刺さる、塚本監督
渾身の作品です。

 

第7回TAMA映画賞 特別賞塚本晋也監督・キャスト・スタッフ一同に対し)

第89回キネマ旬報ベスト・テン  日本映画ベスト・テン 第2位

第70回毎日映画コンクール 男優主演賞(塚本晋也)監督賞(塚本晋也

第37回ヨコハマ映画祭 日本映画ベストテン・第5位